猛虎過江

2009.01.28 Wednesday

上稲子森・稲荷神社

名　称：　稲荷神社（稲荷大明神）
所在地：　芝川町上稲子字森１７４４－１，１７４４－２
創　建：　不　詳
縁　起：　平安時代末期、治承４年（１１８０年）の富士川合戦で
　　　　　敗走した平家の残党が、神社の周辺地域に住み着いて
　　　　　定住し、その後、稲荷神社が創建された（口伝）　　　　　　
承継元：　京都・伏見稲荷神社
祭　神：　猿田彦命（ｻﾙﾀﾋｺﾉﾐｺﾄ）(天孫降臨の祈り神の案内役)
　　　　　倉稲魂神（ｳｶﾉﾐｶﾀﾉｶﾐ）（主祭神）
　　　　　大宮女命（ｵｵﾔﾏﾉﾐｺﾄ）（調和の神）　　　　　
旧社格：　無　格
建　物：　本体：平屋檜造り、銅板葺、化粧天井
　　　　　屋根は、１９６０年頃、茅葺から銅板に普請
地　籍：　土地；５５２ｍ３、建物；約２０ｍ３
鳥　居：　台輪木製赤鳥居(高さ：約３ｍ)
灯　篭：　白御影石（１対）
祈　願：　五穀豊穣、家内安全、商売繁盛
神　事：　富士宮浅間大社（最近は、当番組の組長が代行）
祭典日：　毎年２月の初午（該当日の前後の日曜日）
管理者：　枇杷窪組、森組、神矢野組、地蔵堂組
維　持：　上記４部落（２１戸）各戸年間２千円負担
祭典費；　当番組負担　
祭主催:　毎年、順番に当番組が担当
道　順：　JR身延線稲子駅下車、町営バス：稲荷橋BS下車
　　　　　（稲子駅から約６Km、ユートリオから約１.５Km)

稲子小学校から、右側遠方に、天子ヶ岳、左側には、白水山を
仰ぎ見ながら、暫らく県道を進むと、右側に横たう城山に
隠れてみえなかった稲荷神社が、右側に見えてきます。
旧橋本屋商店前で、稲子川に架かる稲荷橋を渡り、森部落の
民家を右折して少し行くと、お椀を伏せた様にこんもりとした
お山の上に鎮座している稲荷神社が見えてきます。
赤い鳥居をくぐり、急な石段を４０段、上り詰めると、
５坪位の庭が有り、正面に稲荷神社の小さな祠が、
我々を迎えてくれます。

稲荷さんのお祭りは、昭和２０年代後半までは、芝居や
浪曲などが神社の周りで行なわれ、参道には、露天も立ち、
たいへんな賑わいであったそうです。
その後は、お祭りは、寂れていく一方であったが、
地元の青年団が、村おこしの一つとして、神社内で芝居を
上演されたこともありましたが、現在は、周辺の４部落が
かろうじてお祭りをやっている状況であります。

小生が、小学校の頃は、正月、どんどん焼き、稲荷さんの祭りは
１月、２月の行事で、楽しみにしていた行事の一つでした。
正月には、手製の凧を作って、揚げたり、どんどん焼きは、
約1週間前から中学生？の大将の指揮下、正月飾りを集めたり、
孟宗竹や檜の葉っぱで、堂々とした、どんどん小屋を作るのを
手伝ったりと、近隣の子供たちが、挙って参加したものでした。

稲荷さんのお祭りの日は、お祭りの開始の太鼓の音につれられて、
赤飯やお菓子、甘酒などをもらいにいったものです。
最近、祭りの参加者は、当番組と各部落の組長、地元から街へ
出て行った、旧住人の約３０人程度であり、ちと、寂しいです。
近くの小学生も少なくなり、ますます寂れていく感がします。

上稲子地区の各部落の周辺には、氏神、山の神、文殊様等、
祀っているが、その祠が、朽ち果てて荒れている所も
かなりみうけられます。
近隣の部落の管理下にある祠が朽ち果て、粗末にしている
部落は、幾度となく、火事がおきたり、自殺者が、あったりと
あまり良い話を聞きません。

先代から脈々と受け継がれてきた祠は、当然、受け継がれるに
意義（伝統）があるので、今現在も存在しているのです。
これらの神様は、天地天変、病気、災難から我々を
守ってくれているのだろう。

各部落、それぞれ事情があるかもしれませんが、昔から
地域に鎮座まします祠を、粗末にしてはいけないのです。
上稲子地区は、現在，９０世帯しかなく典型的な
過疎地域であり、住人達もだんだん高齢になっていきますが、
後世のためにも、祠の維持管理を願う次第です。

参考：芝川町誌、「かわのり」（芝川町郷土史研究会）
　　　「上稲子の民俗」（早大第二文学部民俗調査団、１９９８年）