猛虎過江

2011.07.01 Friday

JA(農業協同組合）のことを雑書す

静岡県の農協の概説

JA静岡中央会（静岡県農業協同組合中央会）（静岡市）
　東部支所（沼津市）、中部支所（静岡市）、
　西武支所（磐田市）、静岡県農業研修会館（菊川市）

JA静岡グループ（静岡市）

JAバンク静岡（県信連）（静岡県信用農業協同組合連合会）
　静岡本店、沼津支店、富士支店、浜松支店、
　高丘支店（浜松）

JA静岡経済連（静岡県経済農業協同組合連合会）
　東部支所（沼津）、中部支所（藤枝）、西部支所（袋井）
　東京事務所、名古屋事務所、その他、米作、柑橘類、
　畜産、精肉、食品、種子、農機等の各種センター

JA静岡厚生連（静岡県厚生農業協同組合連合会）
　遠州病院、静岡厚生病院、清水厚生病院、リハビリ
　伊豆温泉病院、介護老人保護施設きみの里、看護
　専門学校

JA共済連静岡（静岡市）
JA静岡青壮年連盟（静岡市）
（社）静岡県農協保証センター（静岡市）
（社）静岡県農業振興基金(静岡市）
（社）静岡県農業会館（静岡市）
（財）静岡県農協共済福祉事業団（静岡市）
（財）静岡県農協共済会（静岡市）
静岡県農業団体健康保険組合（静岡市）
（株）静岡県農協電算センター（静岡市）
静岡共済福祉（株）
（株）農協観光（N TOUR）静岡支店、沼津支店、浜松支店、
　　　　　　　　大井川営業支店、遠州中央営業支店

静岡県下JA概況（県内：１８JA）

組合員数　：　正組合員数　１５１，０００人
　　　　　　　准組合員数　２５７，０００人

職員数　　；　８，９００人

１８JA計　：　預貯金　　　４兆５０００億円
　　　　　　　長期共済　１７兆６０００億円
　　　　　　　購　買　　　　　　７２０億円
　　　　　　　販　売　　　　　　８３０億円
　　　　　　　製品販売　　　　　１３０億円
　　　　　　　自己資本額　　　３１００億円
　　　　　　　自己資本比率　　１９．７４％

静岡県下１８JA

JAみっかび　　（三ヶ日・浜松市）
JAとぴあ浜松　（浜松市、湖西市、新井町）
JA遠州中央　　（磐田市、袋井市、森町、浜松市）
JA遠州夢咲　　（菊川市、掛川市、御前崎市）
JA掛川市　　　（掛川市）
JAハイナン　　（御前崎市、牧之原市、吉田町）
JA大井川　　　（焼津市、藤枝市、島田市、岡部町、大井川町
　　　　　　　　　川根町、川根本町）
JA静岡市　　　（静岡市）
JAしみず　　　（静岡市）
JAするが路　　（由比町、蒲原町、富士川町）
JA富士宮　　　（富士宮市）
JA富士市　　　（富士市）
JA御殿場　　　（御殿場市、小山町）
JAなんすん　　（沼津市、裾野市、清水町、長泉町）
JAあいら伊豆　（伊東市、熱海市）
JA伊豆の国　　（伊豆の国市、伊豆市、沼津市）
JA三島函南　　（三島市、函南町）
JA伊豆太陽　　（下田市、東伊豆町、河津町、南伊豆町、
　　　　　　　　　松崎町、西伊豆町）

　（２０１２年、JAするが路は、富士川地区は、JA富士市、
　　由比、蒲原地区は、JAしみずに吸収合併する予定）

ざっと、静岡県の農協の一覧を列挙したが、平成の
市町村合併で、JAもかなり広域合併をしています。
伊豆地区などは、JAの名称を訊いてもどこの地域にあるのか
特定するのに難しいです。
それから、各単協は、傘下の子会社、系列会社を擁しており
農業生産物販売（A　コープ、ファーマーズ　マーケット）
不動産センター、葬祭関連、農協旅行センター、ガソリン
スタンド、プロパン、等々、独禁法に守られた環境下、
組合員のために事業を行うのであらば、コンビニ（？）
なども可能であるかもしれません。
これだけの農協関連会社を含めると静岡県内でもかなり
大きな農協集団であることが解るし、これが全国の
都道府県に同じように、農協グループの関係する会社が
展開され存在するという事は、行政に匹敵する勢いです。

いずれにしても、静岡県の農協の事業総計をみると
その内部事情は別にして、県内大手バンクの資金量に
匹敵する勢いがあるのではないかな。
農協の存在は、農業、地域経済に与えるメリット、
デメリットがそれぞれあると思うが、農協は、本来の
目的の１つである農業指導、振興に本当に役に
立っているのか。
”金融、共済のもうけを、経済の穴埋めにする”という
縮図は、現状ではどうなっているのか。
第２種兼業農家である末端の組合員目線から農協の
問題点を雑書きしてみたい。

１．なぜ農協から購入する肥料、農薬、農機資材等、
　　高いのだ。

　　これも、昔から一向に改善されず、単純に経済連が、
　　問題です。中間マージン、相場の開示発表も一考し
　　早急に改善しなければますます、農協から農民は、
　　買わなくなります。
　　農協窓口の対応次第で、農民は、肥料屋、農業資材
　　量販店へ直行します。
　　農協の支店の統廃合も農協の経営基盤を強化の為、
　　行っていかなければならないが、窓口に営農指導まで
　　しろとはいわないが、即、対応できる職員なり
　　経済畑が明るい農協退職OBアルバイトを配置して
　　末端の組合員及び顧客に対応していくことが大事です。
　　（支店の購買窓口に、タッチパネル式のパソコンがあり
　　肥料、農薬の事を顧客が、汚れた指で、タッチすれば
　　答えが出てくる優れものの機械がどうだとばかり設置
　　されているが、そのパソコンを使っている農民が
　　いるのか聞いてみたいです。これら合理化の一環として
　　上からの指導ならチョット考えもんです。）
　　本店には、多くの指揮官ばかりいて、現場の兵隊を
　　削っていく状況では、とても戦争できないです。
　　"適材適所に人事配置"は当たり前のことだが
　　もう少し本店の人数を検証する必要がある。
　　組合員の為、農業を冠として農協を組織している以上
　　情実人事など今時、ないと思うが、如何なもんかな。
　　これこそ民間企業目線で、採算を考え、対処して
　　いかなければならないと思われる。

２．農協は、系列の子会社を含めてなぜ不祥事が多いのか。

　　ネットで、”農協の不祥事”と検索すれば、顧客の
　　定期貯金を勝手に、解約して株に投資した、遊興費に
　　使っただのどうたれこうたれと話題に事欠かせないほど
　　踊っている記事が、散見できます。
　　地元農協の不祥事も以前、当該BLGで、書いた通りです。
　　不祥事がおきる背景は、農協の管理、監査体制がなって
　　いないためです。
　　農協の内部監査、監事による監査で発見できないこと。
　　中央会および上部機関からの指導により管理責任者及び
　　職員に対する講習会、指導教育を施して不祥事を未然に
　　防止する効果が、徐々に出ているよう思われます。
　　（予告なしの支店の監査、連続離脱等）
　　それから、農協に税務署が入り、恐ろしいくらいの
　　税金が追加徴収されていると聞いているが、内部監査、
　　監事による監査、中央会による監査（監査指導料を
　　相当額支払っている！）は、もう限界である。
　　早急に、公認会計士などのプロを導入すべきである。

　３．県単一農協（１県１農協）は、進むのか。

　　どうも連合会は、単協を食い物にして、自己保身のため
　　のみ存在している意味合いが強ように思えます。
　　末端の農家の組合員も総代会で、農協の上部組織の
　　合理化、職員の削減など農協の存在を憂う発言など
　　皆無です。単一農協はいずれ実現されると思われる。
　　そうすれば連合会を擁護、保護している農協法の規定を
　　かえて、単協の寄生虫のような存在を改め、本当に必要な
　　仕事のみを専任する任意機関として役割を変えていくべきです。

４．県下の常勤役員の７０歳定年は、どうなっているのか。

　　平成１６年９月２９日から全国中央会、県中央会の
　　指導により県下の単協で導入された。

　　（平均的定年制の状況）
　　常勤理事（非常勤理事）は就任時、７０歳以下
　　学経理事・監事は、６２～６５歳以下、２期程度

　　全中も７０歳定年制を導入されているときくが、
　　どこかのJAでは、理事会で定年制をごりおしで
　　撤廃した愚かな組長がいたようです。

５．農協の総代会の資料に、JA３ヶ年計画の内容が
　　それとなく美辞麗句をならべてかかれていますが
　　本当に実現可能性のある"けいかく"なのか。

　　JA３ヶ年、５年計画等、当然、中央会のごもっともな
　　ありがたい指導を参考に書かれていると思われますが
　　その計画を策定する前に、前年期の３ヶ年計画等の
　　検証をだいたいやってその反省に基づいて新計画が
　　なされたのかどうかはなはだ疑問である。

６．農協の自己資本比率は、早期是正措置の４％を
　　上回っていると聞くが、農協は、１５％くらい程度
　　確保しているので安心なのか。

　　農協の自己資本比率の開示は、BIS規制（９８年）により
　　２００６年から導入されました。自己資本率は、単純に
　　貯蓄率が高くなれば、貸出リスクも合わせて高くなるので
　　自己資本比率も当然、低くなると思います。
　　自己資本比率は、金融機関では、最も重要な指標です。
　　単協で集めた貯金のほとんどは、県連、全国連に預けて
　　いわゆる安全！な資金運用をまかせるスタイルからすると
　　他の金融機関と比較するのは、如何ものかとおもわれる。
　　農協の自己資本比率は、一般的に１４％を下回ると
　　経営がよくない農協、１２％以下だと経営が悪化している
　　農協と云われています。
　　総代会資料で自己資本比率が、簡単に書かれているのが
　　散見されるが、県下でどの位のランクに位置し、状況的に
　　どうなのか詳しく説明があっていいのではないかな。
　　全国の自己資本列の低い農協のランクをみると山梨県の
　　富士豊茂は、４．０９％（後に吸収合併）を筆頭に、青森
　　山梨、鹿児島、千葉等、あげられるが、自己資本比率も
　　重要であるが、農協の不良債権比率の数字も合わせて
　　検証すれば、その農協が健全経営をしているのか推測
　　出来るのではないかとおもいます。
　　農協のディスクロージャーは、他の金融機関と比較しても
　　万全な体制とは言い難いです。

７．JAの上部団体である全中の関連するJA関連企業か
　　どのような会社があるのか。

　　Wikipedia参考に列挙してみたい。

　　農中信託銀行、共栄火災海上保険、JA三井リース、
　　日本ミルクコミニテイー（雪印牛乳、農協牛乳、メグミルク
　　全酪牛乳）、ホクレン商事、新潟県農協乳業、北陸乳業、
　　日本酪農協同（毎日牛乳）、コープケミカル、クミアイ化学
　　工業、パールライス、イハラケミカル工業、イハラ建成工業
　　家の光協会、日本農業新聞、農協観光、JA高崎ハム、
　　エーコープ、全農物流、全農食品、農協ハム、、ほか

　　バブル期、踊りまくった清算中、譲渡、吸収合併した会社

　　農中証券（０４年、みずほ証券に譲渡、清算中）
　　共同クレジット（JA　CARD）（０６年、三菱UFJニコスに
　　　　譲渡、清算中）
　　農林中金インターナショナル（中金が全額出資していた
　　　　英国の証券会社、清算中）
　　農林中央金庫(金沢、長野、静岡、水戸、和歌山、広島
　　山口の各支店、廃止)

　　バブル期、住専および農林中金からみの不祥事を
　　思い出しました。ここに記している会社は、多分代表的な
　　会社と推測される。

　　（例えば、”ホクレン”で、検索すると、子会社１５社、
　　　子法人２社、関連法人１０社、関連会社４社があるが
　　　これらにも多分、関係する会社が恐ろしいほど
　　　ぶる下がっていると思います！！！）

　　JAグループ全体の事業量は、大手商社に匹敵するか
　　解らないが、なんとなくJAの購入先のイメージが
　　描けそうです。

８．JAグループの代表的な機関紙”家の光”は、まだ発刊
　　されているのか。

　　１９２５年、創刊の月刊誌”家の光”は、まだ健在です。
　　２００９年には、通算１０００号を迎え、公称６９万部の
　　月刊誌としては、堂々たる発行部数を誇っています。
　　現場の職員には、”ゴミの光”などと称されるほど
　　組合員には、圧倒的支持！！！を得ています。
　　家の光の現状の分析、評価は、”農協（JA）問題報告所”の
　　HPを参考されたし。
　　小生が、言いたいのは、家の光を出版しているJA傘下の
　　出版社、そして日本農業新聞を出している出版社は、
　　新興宗教集団たる創価学会の状況とまったく被る部分が、
　　あり、TVコマーシャルの広告料は、莫大な金額を
　　払っていると思われます。
　　勿論、他銀行のパンフレットなどでも、清潔感のある
　　有名な女優を起用して、相対的に企業のイメージアップに
　　貢献して、販売促進に寄与している事は、否定できません。
　　税金で持って行かれる分、広告料を経費として落とせと
　　中央の方針でやっているのをとやかく言うつもりもないが
　　JAグループは、各種スポーツの冠スポンサーになったり
　　TVでは、JAバンクのCMが、飽きるほど放送されるという事は
　　JAグループが、その資金量からしてとんでもなく
　　儲かっている証拠に他ならないと低次元の判断をする
　　小生でした。

　
以上、農協の問題を、主に、デメリットの面から勝手に雑記して
みました。
勿論、農協関連グループが、これだけの莫大な資金量、事業量を
動かすことによって得るメリット面も大きいはずです。
巨大グループ組織であることが、その庇護のもとに単協として
存続していくことのできるメリット面もたくさんあります。
静岡県内でも、JAがアリの巣の如く、県内の隅々までJA支店、
ATM(CD機)が、張り巡らされている状況をみても、これが
日本全国でJAグループが同じように展開されていると
民主党や革新的論客が、”日本の農業の元凶であるJA組織を
解体しなければ農業に明日はないと”いっている考えも
一理あります。
しかし、国内の大企業の大組織化、国際化の如く、企業が
大きくなれば、金融機関も手に負えなくなり、政府が救済なり
国を巻き込まなけれ手におえない状態になってきています。
JAグループもどうもその辺の先を読んで、このように
肥大化、巨大組織化し、国、政府もおいそれと手の出ない
”東電”の領域まで行くことが、目的だったのかな？。
こんなことは、農協の幹部職員の方なら、先刻承知の事と
思いますが、今後、辛口の発言なり提言をいえる環境が
到来すれば、農協の総代（一組合員）として、物申したいと
思います。
末端の農協組合員として株主として犬の遠吠えにしか
ならないとしても、吠えるべきだと考えます。
誰かが、チャンと本音を言わなければ、東電のような
体質の会社になってしまうでしょう。

最後に、JA綱領に堂々と書いてある素晴らしい前文の
書き出し部分を記して、この雑文を終りにします。

”私たちJAの組合員・役職員は、協同組合運動の基本的な
　定義・価値・原則（自主、自立、参加、民主的運営、
　公正、連帯等）に基づき行動します”

　

了
　