2013.10.13 Sunday
周恩来「十九歳の東京日記」雑感
雨中二次遊嵐山 両岸蒼松 挟着幾株櫻
到尽処突見一山高 流出泉水緑如許 繞石照人
瀟瀟雨 霧濛濃 一線陽光穿雲出 愈見嬌妍
人間的万象真理 愈求愈模糊
模糊中偶然見着一点光明 真愈覚嬌妍
（１９１９年４月 雨中嵐山／周恩来）
雨の中、二度、京都・嵐山に遊ぶ
両岸の青松は、幾株かの桜を挟んでいる
それらが尽きたところに、山が高く見える
流れ出す湧水は、緑にして、石をめぐり人を映す
豪雨、濃霧のなか、一筋の光明が射している
見れば見るほどに美しい
この世の森羅万象は、求める程にぼんやりとしている
ぼんやりとした中に、偶然に一点の光明が射しているのを
見ていると、本当に美しく感じられます
(意訳拙者）
先日、神宮球場観戦の折、神田界隈で昼食し散策をする。
中国書籍の内山書店、東方書店などを見て回りました。
大正時代、周恩来は、日本留学で、早稲田、神田神保町に
下宿しており、機会があらば、周の関係する所を探訪して
おきたいと思います。
家に帰宅して、周恩来が１９歳の時、日本に留学した時の
”周恩來「十九歳の東京日記」”を、久しぶりに読み返して
みました。
現在、日中関係は、ギクシャクしてあまり芳しくない状況下、
周恩来が、９５年前、大正ロマンの息吹が感じられる！
帝都に滞在して感じた事を中心に、雑記したいと思います。
周恩来(Zhou En Lai)(字は翔宇)・年譜
１８９８年 江蘇省澄淮安縣駙馬巷に生まれる
１９０７年 実母他界、養母の親戚・陳式周の家へ移る
１９０８年 養母他界、淮安の実家へ移る
１９１０年 奉天・大六両等小学堂の六年生に編入
１９１１年 潘陽東関模範学堂に入学（辛亥革命勃発）
１９１２年 （中華民国元年）
１９１３年 天津「南開学校」入学、学生誌「敬業」創刊
１９１４年 第一次世界大戦勃発、
１９１５年 弁論クラブ会誌「校風」の編集にあたる
（日本：対華２１ケ条の要求）
１９１６年 校内で軍閥を批難する演説、校内劇団に入る
１９１７年 ６月 南開学校(高級中学！)を卒業
（日本留学期間の年譜、１９歳〜２１歳）
９月 天津より船で渡海、牛込の家具屋の２階に下宿
１０月 神田猿楽町「日華同人共立東亜高等予備校」に入学
大学入試科目の日本語を中心に補習を受ける
（ロシア２月革命、１０月革命）
（9月〜12月の周恩来の行動が不明なり）
１９１８年（中華民国七年）
１月 1月1日から日記を開始、内容は、修学：格言や詩句、
治事：一日の行動、通信：手紙の送信と受信
（２日：浅草の映画館に南開の学友と行く）
（１０日:玉津館から近くに！引っ越し）
（２１日：三越呉服店で遊ぶ）
２月 雑誌「新青年」に傾倒，孔教を排撃、文学革命に共鳴
（１日：日暮里へ引っ越し）
（２日：東京美術学校画学生の保田重右衛門と会う
後に、フランス留学中、再会す）
３月 東京高等師範学校入試（不合格）
４月 神田「東京堂」で「露西亜評論」を読む
（９日：上野で花見）
（１３日：上野公園の音楽会、電気博覧会に行く）
（２１日：荒川の花見、浅草のサーカス見学）
５月 留学生組織「大中華民国救国団」結成
救国団の面々が、神田「維新號」で秘密会議
西神田署に全員連行される
日華陸軍共同防敵軍事協定締結、留学生反発し
大学の休校、授業放棄、帰国者（４００名）が続出
天津南開、法政学校ＯＢの救国団体「新中学会」に入会
６月 靖国神社内の遊就舘を見学、吉野作造宅を訪問（留守）
（５日：浅草で映画館へ行く）
７月 第一高等学校入試（不合格）
夏休みで一時帰国する（陸路）
（７月：米騒動、８月:シベリヤ出兵宣言、原内閣成立、
第一次大戦終結）
９月 天津から陸路！で東京に戻る
１０〜１２月 日記の記載は、ほぼ通信のみで、どこで何を
していたのか不明
１９１９年
（９月〜１月〜４月 京都滞在か？）
京都の友人宅に寄宿していたらしい
京大経済学部選科（聴講生）で河上肇教授のマルクス主義の
講義を聴講しようとしたらしいが入学しなかった様です。
この時期、周恩来は、河上の著作を愛読し心酔していった。
（日本の団塊世代が、大学１〜２年頃、左翼思想に疑いもなく
どっぷりとのめり込んでいった状況に酷似している）
４月 京都嵐山にて”雨中嵐山”の詩を詠む
（受験に失敗、傷心するどころか、革命に身を投じる
という事で、自己心酔していると思われる）
神戸から船で帰国
１９１９年 五四運動に参加、南開学校大学部開校、入学
１９２０年 「覚悟社」事件に抗議、逮捕、、仏国へ出国
１９２１年 パリ留学、共産党に入党
１９２２年 共産主義青年団結成、機関紙「少年」発効、
（編集助手は��小平）
１９２４年 パリ国民党大会、党中央の指令により帰国
国共合作の任、黄捕軍官学校（校長は蒋介石）
政治部主任の就任
１９２５年 陳炯明の反乱征伐、軍法法所長に就任、
��穎超と結婚
１９２６年 軍官学校のマルクス分子の件で周の秘書逮捕
蒋介石が周を詰問、蒋介石北伐開始
１９２７年 上海武装蜂起を指揮、南昌武装蜂起、国共内戦
１９２８年 武漢で中共五全大会
１９２９年 蒋介石、南京国民政府主席に就任、世界恐慌
１９３０年 李立三の極左冒険路線決定、柳条湖事件
１９３１年 王明らロシア留学組が中共指導権を掌握
１９３２年 端金で、中共政治局常務委員に就任（毛は委員）
満州国の建国
１９３４年 中共の長征始まる
１９３５年 遵義で極左路線、軍方針を批判、毛に軍と指導権を
委ねる、周は、自己批判し毛支持を表明
１９３６年 西安事変勃発、延安で周と張学良が会談、国共休戦
１９３７年 廬山で蒋介石と会談、第２次国共合作成立
盧溝橋事件、日中全面戦争に突入、
国民党軍事委員会政治部副部長に就任、」抗日戦の
遂行と共に南方地域の共産党の地下活動を指導
１９３８年 東南局政治局常務委員、中央初期処統一戦線部長に就任
１９３９年 第二次世界大戦勃発
１９４０年 落馬しモスクワで治療
１９４１年 日ソ中立条約、真珠湾攻撃、太平洋戦争始まる
１９４２年 重慶、延安で整風の学習運動
１９４３年 大生産運動、イタリヤ降伏
１９４４年 延安で、ハーレーと会談 東条内閣総辞職
１９４５年 日本敗戦、国共両軍の停戦、蒋介石と戦後策の会談
１９４６年 国民党国民大会強行、これに抗議し延安へ引き揚げる
１９４７年 党中央・延安を撤退、陜西省北部を転戦
１９４８年 土地改革、整党活動に取り組む、軍事委員会副主席
１９４９年 中華人民共和国樹立、毛沢東と共にモスクワ訪問、
スターリンと会談
１９５０年 中ソ友好友好同盟相互援助条約、朝鮮戦争勃発
中国人民解放軍を１００万人を朝鮮へ出兵
１９５１年 国連で朝鮮問題で中国を侵略者とする決議を批難
１９５２年 第一次日中民間貿易協定締結、ソ連、カンボジア訪問
日華(台)条約締結
１９５３年 大山郁夫と会見
１９５４年 国慶節に日本からの超党派国会議員等と会談
１９５５年 国連ハマーシュルド事務総長と会談
１９５６年 日本人戦犯1017人の釈放を表明、1984年迄に全員釈放
１９５７年 日中両国間の諸交流が促進される
１９５８年 臺灣問題で日中民間貿易協定を破棄する
１９５９年 石橋湛山前首相訪中、日中友好協会を設立
１９６２年 日中総合貿易覚書調印
１９６６年 文化大革命が始まる
１９６７年 陳毅と人民大会議場で造反派に包囲される
”私の身体を乗り越えていけ”と闘争の是非を問う
１９７１年 林彪事件勃発、藤山愛一郎と日中復交４原則の声明
１９７２年 ガンを告知、日中国交正常化に調印
１９７６年 周恩来、北京の病院で死す、葬儀は地味に行われ、
本人の遺言により中国各地に空中散骨された
１）周恩来少年期(1898ー1917年）の中国の状況
中国は、孫文の辛亥革命で清朝を打倒して、中華民国が樹立された。
袁世凱が北洋軍閥をバックに、政権を握り臨時大総統に就任する。
日本は、日清・日露戦争に勝利し、中国大陸進出政策が
積極的に推し進められていった。
袁世凱は、実権を握ると共に、独裁に走り、中国最初の選挙で
国民党が圧勝すると、袁世凱はこれを弾圧し、国民党の宋教仁は
暗殺された。
中国各地では、反袁反乱（第二革命）が勃発したが鎮圧し孫文は、
日本に亡命する。
袁世凱は、国会を停止し独裁を強化し、帝位に就くが、内外から
強い反発を受け（第三革命）、帝政、を撤回したのち病死する。
袁世凱死後、北洋軍閥は、地方分派間あるいは、派内の有力者間で
抗争を繰り返し、北京政府の政権を争った状態であった。
日本は、第一次大戦勃発により、日英同盟協約によりドイツに
宣戦布告し連合国の一員として参戦する。
袁世凱政権に対しては”対華二十一ヶ条要求”が発せられた。
○対華二十一ヶ条要求の内容
ドイツが山東省に持っていた権益を日本が継承
山東省内やその沿岸島嶼を他国に譲与・貸与しない
芝罘又は竜口と膠州湾から済南に至る膠済鉄道を連絡する
鉄道の敷設権の許可
山東省の主要都市を外国人の居住・貿易権の解放
南満州及び東部内蒙古：旅順・大連（関東州）の租借期限、
満鉄・安奉鉄道の権益期限を99年に延長
日本人に対し、各種商工業上の建物の建設、耕作に必要な土地の
貸借・所有権の付与
日本人が南満州・東部内蒙古において自由に居住・往来、各種商工業
などの業務に従事することの許可
日本人に対し、指定する鉱山の採掘権の付与
鉄道敷設：他国から資金援助を受ける時、また諸税を担保として
借款を受けるときは、日本政府の同意を得る事
政治・財政・軍事に関する顧問教官を必要とする場合は、日本政府に
協議する事
吉長鉄道の管理・経営：９９年間、日本に委任
漢冶萍公司（中華民国最大の製鉄会社）の日中合弁化
中国政府は、日本政府の同意なく同公司の権利・財産などを処分が
できない
漢冶萍公司に属する諸鉱山付近の鉱山：同公司の承諾なくして
他者に採掘を許可しない
中国の領土保全：沿岸の港湾・島嶼を外国に譲与・貸与は不可
中国政府の顧問（政治経済軍事）として日本人を雇用する
中国内地の日本の病院・寺院・学校等の土地所有権を認可
日中間で警察事故：必要性のある地方の警察を日中合同とするか、
地方の中国警察に日本人の雇用、中国警察機関の刷新確立
中国政府所有の半数以上の兵器を日本から供給調達、中国国内に
日中合弁の兵器廠を設立、日本より技師・材料の供給を仰ぐ事
武昌〜九江間、南昌〜杭州間、南昌〜潮州間の鉄道敷設権の付与
福建省の鉄道・鉱山・港湾の設備に関して、外国資本を必要と
する場合は、事前に協議する
中国において日本人の布教権の認可
２）周恩来、日本留学生活
大江歌罷掉頭東
邃密羣科濟世窮
面壁十年圖破壁
難酬蹈海亦英雄
大江を歌罷めて 頭を掉って東し
邃密なる群科 世の極まるを済う
面壁十年 壁を破らんと図り
酬われず 海を踏むも亦た英雄
１９１７年９月、周恩来が日本留学のため天津から渡航する前に
書いた大江歌罷の七言絶句である。
日本に留学して、勉学に大いに勤しんで、中国の救国の思いを
強く意識した詩である。
周恩来が、卒業した南開学校の成績優秀者は、日本留学を希望する者が
少なくなく、周恩来は、家が貧しく、渡航費、滞在費を家族や親戚から
援助してもらう事は、無理であった。
渡航費は、南開学校理事長の厳修が援助を申し出があり、滞在生活費は
東京留学の仲間や在日留学生団体の借入や経済援助に全面的に頼った。
中国は、日清戦争後、科挙制度が廃止され、近代的な教育環境設備の
立ち遅れという状況下、日本への留学生数が増加し、約１万人位
人数であったと云われています。
日本留学組で有名なのが、孫中山、魯迅、陳独秀、李大� �郭沫若、
郁達夫等、錚々たる面々を輩出している。
当時、日中間には、「中国人留学生育成十五年協定」があり、周恩来は、
私立大学は、無理なので、東京高等師範（教育大）、一高に受験を希望した。
合格すれば、中国政府の官費留学生の待遇を受けることが出来たのである。
当時、日本に留学した学生は、官費留学の資格取得のため、日本語を
主眼とする中国人専用の予備校に入学して、受験勉強をしたのである。
周恩来日記は、来日して三か月間は、記載がなく、大正七年一月一日から
始まっており、それこそ修行僧のごとく勉学に励んだようです。
周恩来が下宿した神田周辺は、明治、日大、中央等を擁する学生街であり
学生相手の旅館、下宿が軒を並べており、大正初年頃は、数千人の中国人
留学生が集まるゾーンになっていたようである。
神田には、中国人用の予備校、留学生達の組織、そして華僑の中華料理店の
開業等、周恩来にしてみれば身近に同郷の人達がいたという事が、一番
心強かったに違いないです。
周恩来は、東亜高等予備校で受験勉強するのであるが、日常生活は
朝起きて１時間位、読書、学校、個人教授、留学生や資金援助者、
留学生団体の関係者等、毎日、１〜５人位の人達と接蝕し下宿に戻って
就寝前に読書（学習）といった生活であったようです。
毎日、故郷の同窓、留学仲間等、そのほとんどを中国人と接触しており
日本人と深く付き合ったかは、皆無に近い。
周恩来は、故国の家族、親戚、南開学校の関係者等に対して、手紙を
ほゞ毎日（記述が本当ならば）２〜５人位、書いて出していたようです。
周恩来は、こうした生活の中、中国では、当時ありえない欧米の
最新文化が身近に展開する東京の街で、魅惑的でエキゾジックな
文化を目の当たりにしてどう感じたのか感想を書いてありません。
故国では、とても考えられない、映画、浅草オペラ！、ダンス、観劇、
三越デパートで買い物等、とてもリッチな生活をしていたようです。
３）２度の受験失敗
周恩来は、予備校で受験勉強をしたが、日本語があまり習得できず
東京高等師範，一高の入試に悉く失敗している。
渡航費、東京滞在費用の全てを、謝金と経済援助（カンパ）で頼り
官費学生に成れなかったのは、忸怩たる思いがあったに違いない。
日記は、日本に着いて三か月間、一時帰国〜帰国の期間、肝心な
部分の記述が、欠落してないので推定するしかない。
出版・公開に際して、中国当局あるいは、編集者が、周恩来が
中国のNo.2まで登り詰めた地位から考察すると、経歴の都合の
悪い部分、公表すると問題が生じる部分は、意図的にカットした
可能性があり、公開しても差し障りのない個所を纏めて公開した
思われる。
邪推ながら、２０歳前後の青年が、女性との出会いや絡む場面も
あったと思われるが如何なもんでしょうか。
４）周恩来一時帰国
周恩来は、７月、第一高等学校入試に臨んだが、不合格であった。
予備校が夏休み！になった７月２８日から９月４日まで、周恩来は
天津に一時帰国している。
受験の失敗、今後の方針等、親族や多数の関係者と彼は、接触して
いるが、具体的に何を話したのか不明です。
借金、寄付、カンパし周恩来に途轍もない希望を託した人達に対して
顔をあわせる事も憚る状況であるのにどのような謝罪や弁明をしたのか
当然、その場面はあったと確信していますが推測するしかないです。
○周恩来、1年間の留学生活費用の総計（留学〜一時帰京迄の期間）
渡航費、東京滞在費を、現在、東京で下宿・外食費・予備校授業料
個人教授費用、交通費、書籍購入、通信費、雑費他、換算
周恩来の予備校生とは思えない派手な行動にかかった滞在生活費を
一か月およそ２５万円と勝手に想定してみる。
（１年間）：２５万円 ｘ １２か月 ＝ ３００万円
（日本留学期間）：２５万円 ｘ １９か月 ＝ ４７５万円
あくまで、勝手に推測した見積もりであるが、１９歳の
予備校生が、５００万円位の借入金を背負って、結果が
出せないとなれば、どんな気持ちになるか聞いてみたいです。
○帰国のルート
７月２８日 東京発16:00（第五列車急行下関行）ー
７月２９日 下関着20:24 21:30発(関釜連絡船)ー
７月３０日 釜山着9:00 10:30発(朝鮮鉄道・奉天行)ー
京城(Seoul)ー平壌ー
７月３１日 安東着10:40 10:30(時差１Hr)発(南満州鉄道・奉天行)ー
奉天着18:35 21:25発(京奉鉄道・山海関行)ー
８月０１日 錦州ー山海関着9:25 10:15発(北京行)ー昌黎ー唐山ー
天津16:35ー天津(中央)着16:53
東京から天津まで陸路を鉄路で４日間、とても魅力的な旅程です。
現在、板門店を通過できれば、このルートも成立する。
旅行会社が、”大陸鉄道で行く！朝鮮・中国天津観光ツアー、
１０泊１１日、３食付、船中、車中泊あり、１９.８万円也”
などというツアー募集があれば、小生は、即、応募するでしょう。
５）空白の７か月〜京都滞在〜帰国
一時帰国した周恩来は、日本に戻る前、８月下旬の日記をみると
北京で、滌非(友人！)の結婚式の介添役を終え、天津の家に戻る。
８月２６日の日記：
”夕飯は三伯父の所に行き、１時間余り話をする。帰ってくると
乃兄が来ていて、慧弟が、戊午（香港の大学？）に合格した事を
教えてくれる。琴伯とその家族はみな香港行きを主にしていたのだ。
その事を聞いて、心が非常に痛み、糠喜びがたちまち冷水を背中に
ぶっかけられた様になり知覚を失った。”
８月２７日の日記：
今朝、実父が４時に出発して南京に向かった。「昨日の傷心まさに
未だ己まず、今朝又た復た厳親と別る。」この情景は如何に辛い
ことだろう。独り我家を離れ我愛する友からも遠く離れ、傷心の
極みであるが二度と口にしまい！”
（この日記以前の記述を読んでも状況が把握できません）
周恩来は、これ以降、１２月２３日まで、手紙の発信と受信の
記述のみで、肝心な、自分の心情を一言も記録してありません。
しかも、翌年の４月５日まで、帰国する前に、京都滞在中、
本文冒頭の”雨中嵐山”詩を読んだのが有名であるが、肝心な
帰国までの行動は、不明であり、この部分を裏付ける資料は
少ないです。
周恩来の日本留学期間は、僅か一年７か月間で、この空白の
期間は、帰国して五四運動にのめり込んでいく前段階の
人生の大きな決断があったはずである。
６）周恩来が、帰国を決意した要因
○南海学校の大学を創設で入学希望（フランス留学への近道）
○ロシア革命により社会主義政権が成立〜社会主義思想に感化
○日本、対華二一ケ条要求、日華陸軍共同防敵軍事協定締結〜
留学生反発〜留学生の大学授業放棄〜留学生四〇〇名帰国
○京大教授！の河上肇の思想〜マルクス主義に魅かれていく
○五四運動にみられる中国民衆の救国運動の台頭！
これ以外にも、いろんな要因が推測できるが、周恩来が死ぬまで
ことの真相を話さなかったのが残念である。
帰国してから、自己保身とは言わないまでも毛沢東に追随し
総理まで上り詰めた彼の原動力の源となったのが、東京留学した
一年七か月間の貴重な体験が少なからず影響していると思います。
勿論、革命の錦の本、反対勢力をどれだけ粛清し、昨日までの
周恩来の同士を、毛沢東の個人崇拝のために血祭にあげた
影の部分も歴史も、検証して行かなければならないです。
しかしながら、周恩来が、日中友好条約を締結せしめたのも
東京留学で、日本人の国民性や風俗習慣等を知りえた事により
条約の締結交渉に活かされたことは、幸いであったと思います。
本書は、周恩来没後、１９９８年、中国の中央文献出版から
２２年後に刊行されたという事は、かなり深い意味がありそうです。
今後、周恩来の東京滞在も含めて、中国の総理という地位を長く
続けられた功罪については、機会あらば、雑感を書いてみたい。
以上、雑文を終わります。
”毛主席万碎！万万碎！”
文化大革命時、”毛主席万歳”と周恩來が、絶叫しているが、
中国語で”万歳”と”万碎(Wan Sui)"は、同発音語であり
”毛主席萬碎！萬萬碎！（毛主席、木端微塵に砕けてしまえ！）”と
叫んでいる確率が高いと、学生時代、中国史！の講義で
聴いたことを思い出しました。
了
PS: ＣＳ、広島との２回戦、９回裏、檜山大明神が、代打で
最後の出場、見事、２ランホームランをカットバシテ
引退に花を添えました。
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