猛虎過江

2011.10.11 Tuesday

韓国歴代大統領一覧

アジア諸国の中で、隣国である韓国の歴史を知るという事で、
とりあえず、歴代大統領について、誕生から末路まで、雑多に
纏めてみたいと思います。
小生の学生時代、韓国は、朴正煕独裁政権の暗い時代であり、
中国大陸は、文化大革命で、若者が、毛語録を振りかざし
世の中の気に食わないものを叩き潰し発狂していた時代で
ありました。
中国関係は、多くは、国民党側からの目線の本を、かなり力を
いれて乱読していました。
しかし、韓国関係は、岩波新書の”韓国からの通信”くらいしか
印象に残っていない状態である。

（同書は、朴・全政権時代、Ｔ．Ｋ生と名乗る韓国人が、宗教
　団体や地下文書、ビラ等から反体制派の人たちの事を、
　１９７３年～８８年まで通信形式で纏めたものです。
　０３年、Ｔ・Ｋ生は、実在しないだろうと思われていたが、
　朴政権！時、日本に亡命していた池明観が、呵責の念から
　名乗り出てきました。
　同書のなかで光州事件等、本の内容の半分くらいは、
　検証してみると捏造されて事実無根の内容だそうです。
　朴政権が、悪の権化と設定し、民主化勢力の都合のいい
　目線で書かれ、岩波書店の”世界”に転載されていた。
　当時”世界”を読んでいる人は、その国の歴史や国情などを
　考慮せず、書いてあることを”疑いもせず”受け入れていった
　所謂、左翼の輩に、安価な岩波新書は、読まれていました。
　因みに、小生は、ゼミで、マスコミ論をとっていたので
　”報道の中立性”について真剣に考えていたようです）

社会人になって、仕事で５～６回、訪韓し、生の韓国の姿を
見ることがあったが、もう少し韓国の人と成りを学習していれば
また違った韓国とのお付き合いの展開になっていたのでは
ないかと思う次第です（訪韓は、７７年～８４年頃です）
なぜ、今、嫌韓ブーム！のこの時期に、韓国の大統領の事が、
気になったのか。
単に、蘆武鉉大統領の追悼の動画の中で、小生が、気に入っている
アリランの曲が、ＢＧＭで使用されていて、いい雰囲気のなか
韓国のトップまで上り詰めた人は、どんな人なのか
個人的に興味を持ったからです。
即ち、”知彼知己者　百戦不敗”の孫子的な感じです。

現在の韓国の憲法の規定（第六共和国憲法、１９８７年）より
大統領は、国家元首であり、かつ陸、海、空軍の統帥権をもち
行政権を有する政府首班の地位が保持される。
任期は５年、再選については、李承晩や朴正煕政権に、
長期独裁を許した反省から、全斗煥斗政権時に憲法の改定が
行われ、再選禁止となり、一期限りの任期となる。
（参考：韓国人名事典、Wikipedia等）

○大統領名　在任期間　政権政党　　政権就任～末路、本人経歴

１．（初代～２代～３代）　
李　承　晩　　　１９４８－１９６０　民主党ー自由党
Ree Syung Man

”１９４８年８月１３日　李承晩を初代大統領とする大韓民国の
　樹立が宣言され、米国の承認を得て正式に大韓民国が成立した”

李承晩が、初代大統領に就任する前までの経歴を調べてみると
大韓民国の国父と称されるほど、立派な功績を残した人物の
一人である事を知りました。
李承晩が、大統領に就任した後、日本に対する一般的イメージは、
１９５２年、対馬沖に、軍事境界線”李ライン”を勝手に引き、
日本の漁船を次々に拿捕するという国際法を無視した対日政策を
行ったとんでもない人物である。
李ラインで、日本側の漁船、３２８隻、３９２９人が不当抑留、
死傷者４４人という甚大な被害を受け、６５年の日韓漁業協定が
締結される迄、１４年間、続いた。
李承晩が、大統領に就任した１２年間は、国内で自分に刃向う
政敵は、身内であろうと冷酷までに粛清していくという、正に
独裁政権そのものであった。
しかし、６０年には、大統領の独裁を糾弾する住民の決起による
所謂、４月革命によって韓国から追われ、ハワイへ逃亡し、
６５年に客死する。
李承晩は、中国、辛亥革命の雄、孫文の経歴に前半部分は、
少し似ている感じがします。
大統領に就任するまでは、日本の敗戦により、国内外が。
混乱していた時期、国の方向性を形づくった韓国独立の
指導者の一人であったという事と、一貫して、反共産主義を
貫いたことは、評価しなければならないです。

１８７５年　黄海道平山郡（現北朝鮮）没落両班の家に生まれる
１８９６年　独立協会（徐載弼）の結成に参加、逮捕、投獄
１９０４年　渡米、ワシントン大学入学
１９０８年　ハーバード大学卒（修士）
１９１０年　プリンストン大学で政治学博士号を得る、帰国
１９１１年　寺内正毅総督暗殺計画に連座して投獄
１９１２年　米国に亡命
１９１９年　上海で大韓民国臨時政府樹立
１９２０年　大統領に推される、派閥抗争により失脚、ハワイ居住
１９３３年　満州事変を討議する国際連盟総会に臨時政府全権代表
１９３４年　オーストリア人、Ｆ．ドナーと結婚
１９４１年　”日本の内幕記”を著す
１９４５年　日本終戦（７０歳）
　　　　　　帰国
１９４６年　大韓独立促進国民会を結成、総裁に就任
１９４８年　済州島、４．１３事件、反乱鎮圧
　　　　　　初代大統領に就任（７３歳）
　　　　　　大韓民国の成立
　　　　　　日本を非公式訪問、麗水・順天事件の反乱鎮圧
　　　　　　国家保安法を制定
１９４９年　聞慶虐殺事件
１９５０年　朝鮮戦争勃発
　　　　　　漢江人道橋爆破事件、保道連盟事件で虐殺（20万人！）
１９５２年　海洋主権宣言、いわゆる李承晩ラインを設定
　　　　　　戒厳令を施行、反対派議員を監禁・憲法改正を強行
１９５６年　大統領に３選
１９５８年　進歩党党首の曺奉岩をスパイ容疑で逮捕、処刑
１９５９年　新潟日赤センター爆破未遂事件
１９６０年　不正選挙を糾弾するデモ隊と警官隊が衝突（死者186人）
　　　　　　４月革命によりハワイへ逃亡、客死(９０歳）

２．（４代）　　　　　　　
尹　潽　善　　　１９６０－１９６２　民主党ー新民党
Yun Bo Seon
　　　
李の後は、許政が、大統領職を臨時代行する。
選挙により尹潽善が大統領に就任した。憲法改正により議員内閣制に
移行し、民主的体制を歩み始めたが、６１年５月１６日に、軍事
クーデターで、体制を固め、独裁体制に進んだ。しかし、朴による
軍事クーデターで政権崩壊。
就任期間が２年間という短期つなぎ政権であった。
そのあと、軍法会議で、懲役３年の判決をうける。

１８９７年　忠清南道牙市生れ
１９０７年　漢城府校洞普通学校卒業
１９１７年　上海で、大韓民国臨時政府の設立　
１９２１年　欧米に留学
１９３２年　帰国
１９４５年　日本終戦（４８歳）
　　　　　　韓国国民党を結成
１９５０年　朝鮮戦争勃発
　　　　　　李承晩との対立により商工長官解任
１９５４年　国会議員選挙で当選、民主党初代議員部長
１９５８年　国会議員選挙で当選、民主党最高顧問
１９６０年　国会議員選挙で当選
　　　　　　第４代大統領に就任（６３歳）　
１９６３年　第５代大統領選挙で、朴正煕に僅差で敗れる
１９６７年　第６回大統領選挙で、朴正煕に大敗
１９７６年　民主救国宣言を発表
１９９０年　死去（９２歳）

３．（５代～６代～７代～８代～９代）
朴　正　煕　　　１９６３ー１９７９　　民主共和党
Park Chung He
　　
朴正煕が、軍事クーデターにより政権を奪取。
６２年３月から６３年１２月迄、朴が、国家再建最高会議議長に
就任、軍事政権となる
６３年、選挙により大統領に就任する。
朴による独裁体制が進み、７２年１０月には、非常戒厳令を発令し
軍を全面的に掌握した独裁体制が、益々堅固なっていった。
朴独裁体制は、１７年間に及んだが、７４年、在日朝鮮人文世光の
朴大統領狙撃事件（未遂）が起こり、流れ弾により朴夫人が死亡、
その後、朴本人も、腹心の金載圭ＫＣＩＡ部長により暗殺される。
朴正煕の功罪についは、李承晩同様に評価が難しいです。
朴により弾圧された側にすれば、極悪非道即死刑、国難の時期
朴による強権による統治も必要、漢口の軌跡と評される経済的
発展の功労者である等、素人では、功罪を仕分けして評価する
ことは難しいです。
仮に、朴本人が、裁判にかけられ死刑となったらそれで結論が
出ているはずであり、万民も納得するのでしょうか。
実際は、朴本人も裁判にかけられる事もなく、同じ朝鮮人に
暗殺され、朴夫人も一緒に暗殺されているので結論が出ている
はずです。
だれか、朴正煕を評価できる人がいたらお教え願いたい。

１９１７年　慶尚北道善山郡（現、亀尾市）貧農の家の生まれ
１９３２年　大邱師範学校入学
１９３７年　大邱師範学校を卒業し、慶北聞慶国民学校で３年間、
　　　　　　教師をする
１９４０年　満州国軍新京軍官学校入学
１９４２年　満州国軍軍官予科を首席卒業
　　　　　　日本の陸軍士官学校に編入
１９４４年　陸軍士官学校卒業、満州国軍歩兵第８師団に配属
１９４５年　満州国軍中尉で終戦を迎える
１９４６年　国防警備隊士官学校卒業、国防警備隊大尉に任官
１９４８年　南朝鮮労働党に入党、粛軍運動で逮捕、死刑宣告
１９４９年　軍法会議で執行免除の無期懲役、軍籍剥奪
１９５０年　朝鮮戦争勃発
　　　　　　陸軍少佐戦闘情報課長を復命、陸英修と再婚
１９５１年　陸軍本部作戦部次長
１９５３年　陸軍准将、米国陸軍砲兵学校に留学
１９５７年　陸軍大学を卒業、第７師団長
１９５９年　陸軍少将、第６管区司令官
１９６０年　釜山軍需基地司令官、第２軍副司令官
１９６１年　５・１６軍事クーデター、国家再建最高会議議長に
　　　　　　就任
１９６２年　大統領権限代行
１９６３年　韓国大統領に就任（４５歳）
　　　　　　以後暗殺された～７９年迄、５期就任
１９６５年　日韓基本条約締結、戦前の諸条約の無効も確認
　　　　　　両国間の問題であった賠償金については
　　　　　　総額8億ドル(無償3億ドル、政府借款2億ドル、
　　　　　　民間借款3億ドル)の援助資金と引き換えに
　　　　　　韓国側は請求権を放棄した　
１９７４年　文世光事件：暗殺未遂、妻・陸英修が死去
１９７９年　金載圭ＫＣＩＡ部長に暗殺される(６２歳）

　　　　　　　　　
４．（１０代）
崔　圭　夏　　１９７９－１９８０　　無所属
Choi Kyu Hah

文民出身で、大統領の就任期間は、僅か、１年弱という
つなぎ的な政権であった。　　　　　　　　　　　　　　　　
朴政権では、文民出身の外務大臣、国務総理を歴任し
朴暗殺の後、８か月間、大統領権限臨時代行とる。
戒厳令下、大統領に就任、憲法改正、民主化政策を
目指そうとしたが、国内の政情をまとめことが出来なく、
光州事件が発生し、強大な軍部のシヴィリアンコントロールが
出来なかった。
軍部内部の勢力闘争により、全斗煗保安司令官、蘆泰愚
陸軍少将を首謀とする、粛軍クーデターが勃発し、軍の実権を
掌握した勢力により大統領を辞任させられた。

１９１９年　江原道原州で、両班の家に生まれる
１９３７年　京城第一高等普通学校卒業
１９４１年　東京高等師範学校文科（英語、英文学）卒業
１９４５年　満州国・大同学院政治行政学科卒業
　　　　　　ソウル大師範学科教授
１９４６年　中央食料行政処企画課課長
１９５０年　朝鮮戦争勃発
１９５１年　外務部通商局長、駐日韓国代表部公使、外務部次官
１９６７年　第４代外務部長官
１９７１年　大統領外交担当特別補佐官
１９７６年　第１２代首相
１９７９年　第１０代大統領に就任（６０歳）
１９８０年　大統領を辞任
１９８１年　国政諮問会議議長
１９９１年　民族史是正国民会議議長
２００６年　死去(８７歳）

５．　（１１代、１２代）
全　斗　煗　　　１９８１－１９８８　　民主正義党
Chun Doo Hwan

朴暗殺事件の後、軍部内の実権を掌握する為、戒厳司令官の
鄭昇圭大将を逮捕し、粛軍クーデターを起し、軍の実権を握る。
崔大統領は、自分が大統領になる為の、単なる操り政権であった。
崔大統領による、非常戒厳令が発布され、全決斗が保安司令官に
就任すると、戒厳司令官である鄭陸軍参謀総長を逮捕し
陸軍本部や国防本部を襲撃し、所謂、軍クーデターを決行し
軍の権力を掌握した。
クーデターの後、政敵たる金大中など野党政治家を逮捕した。
これに怒った労働者や学生が、戒厳令の解除、憲法改正など
要求し、民主化要求デモが、激しくなり、ソウルから全国に
拡大していった。
戒厳令本部も、戒厳令を全国に拡大したが、金大中の出身の
全羅道の光州市では、２０万人以上の市民が、”金大中の
釈放、戒厳令撤廃”を掲げて決起し、軍と市民の市街戰の様相
を呈し、光州市内は、一時、無政府状態になった。
軍は、陸軍特殊部隊や戦車など総兵２万人余を送り、多くの
市民が、虐殺された。
（５／１６～５／２８、死亡者２４０人、行方不明４０９名、
　負傷者５０１９名）

全斗煗が、大統領に就任後も依然、軍政が続いたが、８２年から
続いていた夜間外出禁止令が解除された。
憲法を改正して、大統領の任期は、以前の長期独裁政権の反省から
大統領の就任期間は、１期のみで、再選禁止等、かなり大胆な
政治改革を断行した。
低迷する国内経済を立て直すため、戦後、韓国の元首としては、
初めて訪日し、経済援助を画策したり親日的な面もあった。
（８１年８月１５日、韓国の光復節では、「我々は、国を失った
民族の恥辱をめぐり、日本帝国主義を責めるべきではなく
当時の情勢、国内的な団結、国力の弱さ等、我々自ら責任を
厳しく自責する姿勢が必要である」と演説した）
この時期、北朝鮮との関係も悪く、８３年の北の工作員による
ラングーン爆弾テロ事件が勃発、全自身は難を逃れたが、多くの
閣僚を失った。
８７年には、北の工作員、金賢姫等による大韓航空機爆破事件が
あり、北朝鮮との関係は、緊張状態が続いた。
全大統領は、表向きには、李、朴歴代大統領の長期独裁政権の
弊害を学習して、かなりソフト路線に切り替えて行った感じです。
しかしながら、韓国民にとって忘れ去ることのできない所謂、
光州事件（５．１８光州民主化運動）は、大統領を退任した
１２年後、９６年、粛軍クーデター、光州事件、不正正蓄財等で
逮捕、死刑判決を受ける（後に特赦）

１９３１年　慶尚南道陜川郡生まれ
１９４５年　日本終戦
１９５０年　朝鮮戦争勃発
１９５１年　陸軍士官学校入学？（第１１期）蘆泰愚と同期
１９６０年　陸軍大尉として米国で特殊戰教育機関で訓練
１９６１年　粛清クーデターで、朴正煕を支持　　　　
１９６６年　第一空輸特戦団副団長
１９６７年　首都警備司令部第３０大隊長
１９６９年　陸軍参謀総長室主席副官
１９７０年　ベトナム戦争に参戦、第９師団２９連隊長
１９７１年　第１空輸特戦団団長
１９７３年　陸軍准将
１９７６年　青瓦台警護室次長補
１９７７年　陸軍少将
１９７８年　第１師団団長
１９７９年　朴正煕暗殺事件後、非常警戒令が宣布、
　　　　　　保安司令官に就任、犯人金載圭を逮捕、処刑、
　　　　　　粛軍クーデターで軍を掌握
１９８０年　中央情報部長を兼務、拡大戒厳令を発布、
　　　　　　野党の金大中など２６人逮捕、
　　　　　　光州事件発生
１０８１年　第1１代大統領に就任（４９歳）
１９８２年　夜間外出禁止令を解除、アジア諸国歴訪
１９８３年　北朝鮮の工作員による大統領暗殺未遂事件が発生し
　　　　　　同行した閣僚１７人死亡（ラングーン爆破テロ事件）
１９８４年　第１２代大統領に就任
　　　　　　歴代韓国大統領としては、初めて、日本を公式訪問
１９８８年　不正蓄財と利権介入が親族の逮捕など発覚、私財の
　　　　　　国庫献納
１９９６年　粛軍クーデター、光州事件の捜査で逮捕、死刑判決
　　　　　（後に金大中により、減刑、特赦）

６．　（１３代）
蘆　泰　愚　　　１９８８－１９９３　民主正義党、民主自由党
Roh Tae Woo

全斗煥と陸軍士官学校の同期であり、粛軍クーデターに関係し
全大統領の後釜的な関係を保持しづけ、民主化の高まる中、
１６年ぶりに実施された選挙により軍人出身としては、最後の
大統領となる。
全政権時代の不正容疑を徹底的に追及した他、与党の金泳三など
取り込んで政局の安定化を進めた。
外交面では、ソ連、中国と国交を樹立し、９１年には、北朝鮮と
同時に国連に加盟するなど、共産圏の国々との関係改善に努めた。
しかしながら、全斗煥と同様に、政治資金の不正隠匿、粛清
クーデター、光州事件に連座して、懲役刑を求刑（後に特赦）

１９３２年　慶尚北道大邱生まれ
１９４５年　日本終戦
１９５０年　朝鮮戦争勃発
１９５１年　陸軍士官学校入学？(第１１期）全斗煥と同期
１９５６年　歩兵小隊長
１９６０年　軍事情報大学英語翻訳将校
１９６１年　防諜部隊情報将校
１９７１年　歩兵連隊長
１９７４年　空輸特戦旅団長
１９７８年　大統領警護室作戦次長補
１９７９年　粛軍クーデターに賛同、首都警備司令官、第９師団長
１９８０年　陸軍中将、保安司令官
１９８１年　予備役編入（大将）、政務第2長官
１９８２年　初代体育部長官、南北韓高位会談首席代表、内務長官
１９８３年　ソウルオリンピック組織委員会委員長、ソウルアジア
　　　　　　競技大会組織委員会委員長
１９８４年　大韓体育会長、大韓オリンピック委員会委員長
１９８５年　第１２代国会議員（民正党）、党代表委員
１９８７年　民正党大統領候補、民正党総裁
　　　　　　第１３代大統領就任（５５歳）
　　　　　　北の工作員・金賢姫等による大韓航空機爆破事件発生
１９９０年　大韓航空機爆破事件実行犯の金賢姫死刑囚を特赦
１９９５年　大統領在任中の不正蓄財とかつての粛軍クーデター、
　　　　　　光州事件の追及を受け懲役１７年の刑を求刑される
１９９７年　特赦を受ける

７．　（１４代）
金　泳　三　　　１９９３－１９９８　新韓国党
Kim Young Sam

韓国では、初めての文民出身の大統領。
早稲田大学卒業という経歴も異色であるが、軍事政権時代は、
自宅軟禁や軍の弾圧をうけ、金大中とともに野党の政治家の
一人として有名である。
しかし、自分が、大統領になるため、各々政党をうまく纏め上げ
大統領に当選する。
朴政権から続いていた軍事政権の一掃する為、軍内の最大抵抗
勢力の”ハナ会”を徹底的に排除し、軍の改革を進めた。
また、野党時代の政治家や政治活動家を登用して、クリーンな
政治を断行したが、９７年のアジア通貨危機に対する有効な
経済対策が実行できなく、ＩＭＦから要請を受けるという事態に
陥り、国民から無能な大統領という恥辱的な烙印を押された。
知日派といわれ日本語も堪能であるが、大統領在任中は、立場上
なのか、日本を批判する言動が、多かったように思われる。

１９２７年　慶尚南道巨済島生まれ
１９４５年　日本終戦
１９５０年　朝鮮戦争勃発
１９５２年　張沢国務総理の秘書官
１９５４年　国会議員選挙、自由党より出馬、当選
１９８５年　全斗瑍より政治活動を解禁される
１９８７年　第１３代大統領選挙に出馬、落選
１９９０年　蘆泰愚、金鐘泌、金泳三の３党が、大同団結し
　　　　　　民主自民党を創設、党大統領候補
１９９３年　第１４代大統領選挙で当選（６５歳）
１９９７年　アジア通過危機により国際通貨基金の援助を要請
１９９８年　大統領を退任
１９９９年　金浦空港でペンキいり卵を投げつけらる事件
２０００年　高麗大学校特別講演で、学生による車中籠城事件　
２００２年　早稲田大学の特別教授に就任
　　　　　　（９４年、早稲田大学名誉博士学位贈呈）
２０１５年　ソウル大病院で死去（８７歳）

８．　（１５代）
金　大　中　　１９９８－２００３　新千年民主党
Kim Tae Jung

李承晩、朴正煕独裁政権に対して、一環として断固反対である
との立場を堅持し政権からの圧力に屈しなかった。
何回も落選の痛手を被りながらも、７１年の大統領選に出馬し
朴正煕に９７万票差で惜敗する（朴：６３４万票、金：５３７万票）
その後、日本と米国に滞在しながら韓国の民主化運動を訴えた。
７３年、東京のホテルグランドパレスに宿泊中、ＫＣＩＡにより
拉致され、日本から秘密裏に船に乗せられ、殺害されることなく
自宅に戻ったが、以後、当局の監視のもと軟禁状態となる。
これが、世間というより韓国のダーティーな部分を白日に
知らしめた”金大中事件”である。
その後は、民主化救国宣言の発表して、逮捕、懲役刑を受けたり
光州事件に連座して死刑判決を受けるなど徹底的に弾圧された。
死刑判決を受けたが、国際世論の反発にあい無期懲役に減刑され
更に、米国へ亡命を条件に、特赦された。
その後、帰国して、軟禁状態が続いたが、全大統領により
政治活動が出来るまでになった。
これ以降、盧泰愚政権、金泳三政権時代にも出馬、落選し、一時
政界引退を表明し研究生活を送る。
９５年になると、次期大統領選に対し、金大中の行動に終目された。
同年、新政治国民会議を結成し、大統領選挙に出馬し当選した。
大統領に就任してから、以前、危機状態である国内の経済改革を
行った。
特に、サムスン、現代自動車などを中心に、ＩＴ産業の奨励や
財閥の統廃合など大胆な経済界の立て直しを推進した。
対北朝鮮との関係は、所謂、太陽政策と称される融和政策！を行い
２０００年には、金正日と南北首脳会談を実現させた。
さらに、彼の民主化、平和活動が評価され、ノーベル賞を受賞した。
大統領を退任した後は、政界から引退し、研究生活を送る
朴正煕ー全斗煥ー蘆泰愚ー金泳三と慶尚道地域出身の大統領が
４代続いたが、全羅道出身の金大中が大統領になり地域対立の
打破融和が期待されたが、過去の政治的対立から出来なかった。

１９２５年　全羅道荷衣島に生まれる
１９４３年　木浦公立商業学校を卒業
１９４５年　慶煕大学経済科を２年で終了、運送業等に従事
１９５０年　朝鮮戦争勃発
１９５４年　国会議員選挙に立候補、落選
　　　　　　李承晩政権時代、野党である民主党の広報
１９５９年　国会議員選挙、落選
１９６０年　国家議員選挙、落選
１９６０年　国会議員補欠選挙で、初当選、朴正煕の軍事
　　　　　　クーデターにより当選が無効となる
１９６３年　国会議員選挙に当選
１９６７年　国会議員選挙に当選
１９７０年　新民党の大統領候補に指名される
１９７１年　大統領選に出馬、朴正煕に僅差で敗れる
　　　　　　以後、朴政権時代は、弾圧が続く
１９７３年　東京のホテルグランドパレスから、ＫＣＩＡに
　　　　　　拉致され、密輸船で、ソウルまで移送され解放
　　　　　　（金大中事件）以後。自宅軟禁状態
１９７６年　民主化宣言を発表、逮捕され懲役刑を求刑
１９７８年　釈放
１９８０年　公民権を回復、政治活動を再開
　　　　　　民主化運動の関連スパイ事件の首謀者として逮捕
　　　　　　死刑判決を求刑
１９８２年　死刑判決の対する国際的批判が高まり無期懲役に減刑
　　　　　　米国に出国を条件に刑の執行を停止
１９８５年　亡命先の米国より帰国、軟禁状態、後に全斗煥大統領
　　　　　　により回復
１９８７年　公民権回復、大統領選に平和民主党を結成し出馬、
　　　　　　金泳三と分立した為、落選
１９９２年　大統領選に出馬、落選、引退表明
１９９５年　政界復帰、新政治国民会議を結成し総裁に就任
１９９７年　大統領選挙に出馬当選、
１９９８年　第１５代大統領に就任（７３歳）
１９９９年　国家安全企画部（ＫＣＩＡ）を廃止、国家情報院を
　　　　　　新設
２０００年　北朝鮮の平壌で、金正日と第１回南北首脳会談
　　　　　　ノーベル平和賞を受賞
２００３年　大統領を退任、研究生活に入る
２００９年　死去（８５歳）（国葬）

９．　（１６代）
蘆　武　鉉　　２００３－２００８　　開かれたウリ党
Roh Moo Hyun

日本でいう戦後生まれ、弁護士出身の大統領、野党である
金泳三、金大中の民主化路線を承継。
８８年、国会議員となり、弁護士ー労組ー人権派ー労働問題
民主化路線を目指す。
全斗煥政権の不正を調査委員会で追及し、その模様が、ＴＶで
中継され、国民に、強く印象を、アピールした。
それからは、金泳三、金大中の政権で、うまく泳いで、
２００２年、大統領選挙のスタイルが、米国の予備選挙制に似た
国民参加選挙といわれる、民主的な方法で行われた。
７名の候補者が、所属政党間や、出身地域の票を奪い合い、
最終的に、蘆武鉉とハンナラ党李会昌候補の２人が、統一候補に
選出された。
本番の大統領選挙では、選挙前、蘆に指示が上向くような事件や
政党間の裏切りや離反、地域エゴのガラガラポンをえて、最終的に
李候補に５７万票の僅差で、蘆武鉉が、第１６代の大統領となった。
蘆は、国民の髙い支持をえて大統領となったが、国会の勢力は、
ハンナラ党が過半数を責めており、選挙不正疑惑の追及や
経済政策も難航し、イラクに韓国軍を派遣したことが、国民の
反発をうけ、支持率は、急落した。
２００４年、野党；ハンナラ党、新千年民主党は、大統領弾劾
訴追案を発議し、投票の結果、訴追案は、可決。
これにより、大統領の職務停止という情けない状態となる。
２００６年、統一地方選挙で与党；ウリ党は、惨敗をし、支持率も
低下して、死に体政権となり、結局、ろくな成果も得られなく
ずるずると自滅していった感じです。
日本は、小泉政権の時代であり、盧政権の国政失敗で韓国民の
不満のガス抜きため、靖国問題を持ち出して、日本との関係を
最悪の状態にしてしまいました。
北朝鮮との関係も、太陽政策を継続して行い、なだめていたが
北のミサイル発射で、太陽政策は、無残な終結となった。
大統領引退後、故郷に戻り、志半ばで自殺する。

１９４６年　慶尚南道金海郡の貧しい農家に生まれる
１９５０年　朝鮮戦争勃発
１９６６年　釜山商業高校卒業
１９６８年　陸軍で兵役、第１２師団で小銃長
１９７３年　権良淑と結婚。
１９７５年　司法試験合格（１７期）
１９７７年　大田地方法院（裁判所）判事
１９７８年　弁護士事務所を開業（租税関連訴訟）
１９８１年　釜林事件の弁護を担当→人権派弁護士に特化！
１９８２年　釜山米国文化院放火事件の被害者側弁護人
１９８３年　来日、琵琶湖で日韓親善ヨットレースに参加
１９８４年　公害問題研究所理事
１９８７年　大統領直接選挙制を求める６月抗争を主導
　　　　　　大宇造船事件、労働争議調整法違反、葬式妨害罪で
　　　　　　逮捕、弁護士資格停止処分
１９８８年　国家議員選挙で当選（金泳三の統一民主党から出馬）
　　　　　　第五共和国における権力型不正調査特別委員会委員
１９９０年　民主自由党（民主党、民主正義党、新民主共和党の
　　　　　　三党合同）の参加を拒み、民主党にとどまる
１９９１年　新民主党を発足させた（金泳三と決別？）
１９９２年　国会議員選挙で落選
１９９５年　釜山市長選で落選
１９９６年　国会議員選挙で落選（新民主党）
１９９８年　国会議員選挙で当選（統一民主党）
２０００年　国会議員選挙で落選（新千年民主党）
　　　　　　海洋水産部長官就任
２００１年　新千年民主党常任顧問、最高委員
２００２年　新千年民主党の大統領候補に指名される
　　　　　　第１６代大統領に当選
　　　　　　（日本・小泉首相、金正日と日朝首脳会談）
２００３年　第１６代大統領に就任（５７歳）
　　　　　　国賓として日本を訪問
２００４年　国会で大統領弾劾訴追案可決、大統領職務停止
　　　　　　憲法裁が大統領弾劾訴追案却下、大統領職務復帰
　　　　　　日韓首脳会談のため、鹿児島県指宿市を訪問
２００５年　国連総会本会議で演説
　　　　　　釜山ＡＰＥＣ首脳会議、各国首脳と会談
２００６年　統一地方選挙で与党ウリ党は大敗、支持基盤を失う
２００７年　北朝鮮の平壌で金正日と第２回南北首脳会談
２００８年　大統領を退任
　　　　　　大統領の側近が収賄で逮捕、釜山地検より収賄の
　　　　　　疑いで出頭、実兄が、不正手数料授受の罪で逮捕、
　　　　　　懲役４年の判決
２００９年　過去の選挙絡みの不正資金、収賄罪で事情摂取等
　　　　　　蘆自身にも検察の捜査が進み始める　　　　　　　　　
　　　　　　自宅近くの裏山で滑落し頭部を強打
　　　　　　自殺す（６４歳）(国民葬)

１０．　（１７代）
李　明　博　　２００８－２０１３　　ハンナラ党
Lee Myung Bak

大阪市平野区で出生、敗戦で、一家は、密造船で父親の生地
浦項に引き揚げる。
その後、苦労して高麗大学に入学、当時の世相は、朴政権下、
民主化運動が盛んな時期、日韓条約反対闘争を指揮し、逮捕され
懲役３年、執行猶予５年の判決を受ける。
６５年に大学を卒業したが、学生運動の経歴が敬遠され、何とか
零細な現代建設に潜り込むことが出来た。
彼は、鄭周永（後の現代財閥会長）に気に入られ、ベトナムや
中東の海外の大きなプラントを次々に成功させ、現代建設の
会長まで上り詰めた。
９２年、現代建設を退社し、国会議員選挙に民主自由党から出馬、
当選し政界入りを果たす。
９６年、金泳三政権時、国会議員選挙に出馬し蘆武鉉を破って
当選するが、選挙違反の疑いをもたれ議員辞職す。
渡米して、ワシントン大学で、都市再生の勉強をする。
帰国後、２００２年、ソウル特別市長に当選、在任中は、清渓高速
道路を壊して、清渓川を復元し公共交通の再編、インフラの整備等
都市の再開発に尽力を尽くしました。
さすが、土建屋畑を歩んできて蓄積された能力をいかんなく
発揮されソウルの街並みをしゃれた感じにして観光客にも
評判がいいです。
２００７年、李は、大統領の予備選挙であるハンナラ党選挙で
朴大統領の子である朴槿恵を破って当選し、大統領選では、
民主新党の鄭東泳に大差で破って当選す。
在日韓国・朝鮮人出身として初の大統領となる。
軍人でも、文民といわれる経歴でもない、民間企業の
頂点まで上り詰め、転身して大統領になった、かなり異色
であるが、どうも日本をよく理解している大統領は、
日本とより良い友好関係を前面にだすと、国民から批判が起き
日本批難がエスカレートする傾向があるが、李明博大統領は、
今後、どのように変わっていくか、注視していきたい。

１９４１年　大阪府中河内郡加美村で生まれる
１９４５年　日本終戦
　　　　　　終戦直後、密航船で父親の故郷の浦項へ引き揚る
１９５０年　朝鮮戦争勃発
１９６０年　慶尚北道浦項市の同志商業高等學校（夜間）卒業
　　　　　　ソウル市龍山区利泰院へ転居
１９６１年　高麗大学校商学部経営学科に入学
１９６３年　同大学校学部学生会長
１９６４年　同大学校総学生会長代行、日韓会談反対闘争を主導、
　　　　　　国家内乱罪で逮捕、懲役３年、執行猶予５年の判決を
　　　　　　受け、西大門刑務所に３か月服役　
１９６５年　大学卒業、現代建設入社
　　　　　　韓国では、最初の海外建設事業であるタイの高速
　　　　　　道路の建設の為、派遣される
１９６８年　同社重機事業所に配属、中東地域の造船所、ホテル、
　　　　　　港湾の整備等、国際的プロジェクトを行い、会社は
　　　　　　大企業に成長した
１９７７年　現代建設代表取締役社長(３６歳）
１９７８年　仁川製鉄代表取締役・韓国都市開発社（兼任）
１９８８年　現代建設代表取締役会長（４７歳）
１９９２年　現代建設を退社
　　　　　　国会議員選挙に当選（民自党）
１９９６年　国会議員選挙に当選（新韓国党）
１９９８年　選挙法違反で議員を辞職、渡米
　　　　　　ワシントン大学客員研究員
２００２年　第３２代ソウル特別市市長に就任
２００５年　ニューライト新右派的思想！）全国連合の設立
　　　　　　総会にハンナラ党代表・朴槿惠代表と共に出席
２００６年　ソウル特別市市長を退任
２００７年　大統領予備選挙であるハンナラ党選挙で朴槿惠を
　　　　　　下して当選
　　　　　　大統領選挙、与党系の大統合民主新党候補の鄭東泳を
　　　　　　下して当選
２００８年　第１７代大韓民国大統領に就任(６７歳)
　　　　　（任期、２０１３年）

韓国の歴代大統領を、年代順に、雑多に纏めてみました。
朴正煕～全斗煥～蘆泰愚は、軍人出身であり、北朝鮮と
対峙している状況から、軍を、掌握していなければ、国を
統治できないという状況は、仕方がないのではないかと
思う反面、政権を脅かす政敵を、抹殺して政権を維持する
といった方向に行きつくパターンに陥ります。

金泳三～金大中～蘆武鉉は、いわゆる文民出身であり、
軍事独裁政権に反対する所謂、民主化運動の勢力により
政権を目指し成就したあと、弾圧していた側の政敵を
これまた裁判などで、合法的に粛清するのである。
長年、野党であったため、政治や経済に対する政策が、
思うように実行できないというような感じになります。
韓国では、民主化路線をとる大統領が３期続いたが、
巷には、３人を評して、大衆迎合型大統領と比喩
されているようです。
まるで、どこか日本の民主党政権を見ているようであり
妙に納得してしまいます。

歴代大統領経験者が政権を退いた後の末路は、軍人出身者は、
暗殺された朴正煕は、別格として、次期の大統領の強い
権力により、全斗煥と蘆泰愚は、軍事裁判にかけられ、
死刑判決、及び懲役１７年の刑を受けるといった重い刑が
課せられています。
文民出身の金泳三、金大中、蘆武鉉も、選挙違反、不正資金
横領、利権介入斡旋収賄等で、本人が逮捕、起訴されたり
家族が、逮捕されたりと軍人出身者と同様に重い刑が
課せられています。

大統領になるが為の前段の国政選挙、及び大統領選挙で
いかに上手く政治資金を集め、大統領になったら資金を
受けた相手に便宜を与え恩返しをしていかなければならない。
任期中も、絶大な権力をバックに、経済に絡む美味しいモノを
企業から受け取るといったモードに陥っていきます。
それから、自分の兄弟や親戚の末端に至るまで、血縁関係のある
一族野党もそのおこぼれに与かるというより、群がるのである。
お祭りの期間が終われば、裁判にかけられ、おこぼれを
受けた人は、罪人にしてしまう恐ろしい結末が待っている。
どうも、韓国の為政者の末路は、中国のいわゆる易姓革命で
登場する権力者の末路によく似ている感じがします。

最後になりましたが、韓国は、日本の終戦、朝鮮戦争の
勃発といった国難を乗り越え、国民の努力により短期間で
経済が飛躍的に発展した立派な国です。
それには、時の大統領が、強い！リーダーシップを発揮した
からこそ、成しえた事だと思います。
しかし、歴代の大統領の国政に対する力不足、失政により、
国民の不平、不満の矛先を、日本に向けるなどという
プロパガンダ的な姑息な方法は、金輪際、使ってほしくない。
歴史の事実を、歪曲してまで行使しても、日本人には、
通用しない事を、学習してもらいたいと思う次第です。
日本との関係や他のアジアとの関係も、冒頭で書いた通り
”知彼知自者、百戦不敗”の諺の如く事を進めていけば
お互いの友好関係が、よりいい方向に進むのではないかと
思う次第です。
国際金融不安のなか、日本と同様、今後、どのような活路を
見出して切り開いていくか、注視していきたい。

以上、拙い文章を終りにします。

了