猛虎過江

2007.10.27 Saturday

新田次郎の山岳小説

先週、上高地に、約３０年ぶりにバスで行ってきました
当日は、曇りで、穂高連峰の山々は、はっきり観望出来なかったが
ホテルの風呂からみた前穂岳は、懐かしく、汗をかきかき
個人山行した昔の感覚を思い出させてくれました

家に帰り、無性に昔の山岳小説を読みたくなり、新田次郎の
小説が１０冊くらい蔵書してたと思いだし探したが見つからない
女房に聞くと、昔の本が多くて、整理のため、子供の漫画本と
一緒に、BOOK-OFFに出しちゃったかも知れないという
つたない返事でありました
休みの日に再度探してみる事にしました

山岳小説を始めて読んだのは、学生時代、雑誌”山と渓谷”に
連載されていた伝説の岳人、加藤文太郎の”孤高の人”です
ワンゲル部の合宿で４年間、よく高い山に登りました
団体で山に登る時、そのパーティーのチーフリーダーは
自然を相手に危険回避術の方法や、山岳知識の習得
リーダーになる為の条件など学ぶのに一番適したのは
山岳小説ではないでしょうか

新田次郎の山岳小説は、岳人になろうとする初心者がまず
読まなければならない必携のバイブルです
小生が読んだ作品は、栄光の岸壁、縦走路、チンネの裁き
偽りの快晴！強力伝、蒼永など、彼の山岳作品はほとんど
読んだのではないかと思います

新田作品の基本的ストーリーは、山男２人にからむ
女一人（恋愛関係が存在する）で山行して、男一人が
山での気象条件や、体力、経験技術のからみで遭難（死）する
この山行でリーダーになった男の故意か悪意か解らない山での
出来事を推測・検証しながら最後には、真相が解明されていく
山を少しでも齧ったものなら”山男は善人である”と解釈するが
彼の作品は、誰も見ていない山の環境なかで条件さえ整えば
完全殺人は起こりうるという逆説的観点からとらえた手法で
物語が展開していくのが特徴的である
下界のごたごたを引きずって山に入れば山男は、豹変する場合も
ありえるということを、我々に暗示してくれたのではないかな

クドクドと意味不明の文を書いてきましたが、新田次郎の作品は
今風に一言でいうと、山岳ミステリー小説という事でしょう
日本の作家であと彼の作品のような小説を書いたのは
井上靖くらいしか思い浮かびません
日本の作家で山岳小説を書くことのできる人はいないのかな
西村京太郎あたりが、トラベル　ミステリーを
バンバン書いているので山岳小説も簡単に書けるのでは
ないかなと思いますが、聞いてみたいですね

新田次郎の作品で　”剣岳（点の記）”という小説がありますが
２００９年に東映から映画化されるそうです
小生は、剣岳に一度は登ってみたいと思っていますので
映画公開されるまでになんとか剣岳の頂上に足跡を
残しておきたいと思います
彼の作品で忘れてはならない地元静岡の富士山を題材にした
小説（富士山頂、強力伝、富士に死す、芙蓉の人）がありますが
不肖鍾馗さんは、未だ富士山の頂上まで登っていません
宝永山までは登っているので、まず富士山頂を極めてから
剣岳に挑戦しようと思う此の頃です

不肖：驫鍾馗 | 雑学雑趣味・備忘録 | comments(0) | -

新田次郎の山岳小説

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